肩こりの最新治療(特に筋膜リリースについて)


平成13年に厚生労働省の調査によりますと、日本では約1200万人もの人が肩こりに悩まされています。
そして肩こりの患者さんの殆どが病院にかからずに、指圧やマッサージ、鍼灸などの治療を受けています。
最近の研究では、肩こりは筋膜(筋肉の表面を覆っている皮膜)が硬くなってシワのようになって、凝り固まるのが原因であることがわかってきました。
マッサージや指圧を受けても、肩こりが軽快しないばかりか、いわゆる「揉み返し」と言って、揉んだ後に症状がかえって悪化するのは、揉めば揉む程筋膜にシワが寄り、長期的には肩こりを増長させてしまう事が原因です。
肩こりの治療として重要なのは、筋膜が寄り集まって、厚く硬くなった部分をきれいに伸ばす(筋膜リリース)する事です。
最近はテレビ番組の「ためしてガッテン」や「世界一受けたい授業」、雑誌の「週刊ポスト」でも特集が組まれました。
また書籍も多数出版されて、「筋膜リリース」が一大ブームとなっております。
当院でも肩こりを訴える患者さんに、非常に簡単なストレッチを指導しています。
このストレッチを継続し、1〜2週間で肩こりが軽快する方が多数います。
そのストレッチの方法は以下の通りです。

①両足で立って、左足の前に右足を出してクロスさせます。
②右手を頭の後ろに回し、左手は下から背中に回します。
③アゴをなるべく左肩に接近させるように、首を左に回します。
20秒〜90秒間同じ姿勢をキープ
④上記のストレッチを反対側でも行います。
⑤ストレッチは1日3回〜5回続けると効果的です。

ストレッチでも効果のない方は、筋膜の緊張を和らげる内服薬やパップ剤の外用、トリガーポイント注射、低周波療法や温熱療法などのリハビリも有効です。
但し、頚椎椎間板ヘルニアや変形性頚椎症などの診断を受けている方は主治医と相談して無理のない範囲で行って下さい。